今回のテーマは、【革の加工・生地・素材の種類】についてです。
革が製品となる過程には、革の素材である動物の皮をなめして、そこから加工・仕上げを行っていくことになります。
以前の記事で、靴のアッパー素材の種類やなめし方の種類については取り扱っていますので、今回は製品前の加工の種類についてご紹介していきます。
〈 もくじ 〉
1.革の銀面や床面とは?
革を加工するときには、革の表面だけでなく両面しようします。そのため、革の加工・生地・素材の種類を確認する前に用語を確認しておきます。
銀面とは、なめしの過程で動物の表皮を除去した真皮層の表面を指します。
床面とは、なめしの過程で動物の肉や脂肪を除去した真皮層の裏面を指します。
2.革の加工・生地・素材の種類
革の加工・生地・素材の種類はたくさんあります。
ここでは特に代表的な革の加工・生地・素材の種類についてご紹介していきます。
※画像は下記画像の出典はすべてTIME&EFFORTのHPとなっております。そちらのHPもぜひチェックしてみてください!
1)ヌメ革
植物タンニンなめしを施しただけで、染色や加工がされていない革のことです。
なめした後、染色や加工されていないため、革本来の風合いが出るため、最も経年変化を楽しむことができる仕上げ方です。
〈特徴〉
・耐久性に優れている
・最も経年変化(エイジング)を楽しめる
・染色や加工がされないため、傷やしわのすくない綺麗な皮が使用される
・表面が加工されていないため水に弱く、しみや傷がつきやすい
広義には染色してある素仕上げのものも含み、染色時には厚みをそろえて染色加工をするようです。
2)スエード
革の裏側である床面を毛羽立たせ、短めに起毛させた革のことです。
毛足が短めに起毛しており、温かみのある見栄えや手触りの良さが特徴です。
〈特徴〉
・革の床面を短めに起毛している
・温かみのある見栄えや手触りの良さ
・汚れやすい
3)ベロア
革の裏側である床面を毛羽立たせ、スエードよりも長めに起毛させた革のことです。
毛足が多少長めに起毛しており、スエードよりも少し粗めの仕上がりになる点が特徴です。
〈特徴〉
・革の床面を長めに起毛している
・温かみのある見栄えや手触りの良さ
・汚れやすい
4)ヌバック
革の表側である銀面を毛羽立たせ、短く起毛させた革のことです。
スエードは革の内側を起毛させるのに対して、ヌバックは革の外側を起毛させている点で異なります。
また、スエードよりも毛足が短く、きめ細かいためなめらかな手触りが特徴です。
〈特徴〉
・革の銀面を非常に短く起毛している
・きめ細かく、なめらかな手触りの良さ
・汚れやすい
鹿(Buck)の革の銀面を毛羽立てたものは、特に「バックスキン」と呼ばれ、スエードのような外観となります。
5)銀付き革
革の銀面をそのまま活かし、銀面の上に仕上げを行っている革の総称です。
代表的なものに、ボックスカーフやエナメル仕上げなどがあります。
6)ガラス張り
クロムなめしをした革の銀面を削り、表面を合成樹脂などでコーティングした革のことです。
銀面を削るため、革の傷やしわを隠すことができ、コストを削減することができます。
しかし、表面を合成樹脂などでコーティングしているため、革の風合いを楽しめないという特徴があります。
〈特徴〉
・銀面を削り表面をコーティングしている
・コストが削減でき、比較的安価
・比較的水に強い
・革の風合いを楽しめない
・表面がコーティングされているため、クリームなどで栄養補給しにくい
7)エナメル
クロムなめしをした革の銀面に合成樹脂などをコーティングした革のことです。
ガラス張りは革の銀面を削った上にコーティングするのに対して、エナメルは革の銀面の上にコーティングする点で異なります。
また、水には強いですが、乾燥するとひび割れを起こす可能性があるという特徴があります。
エナメルは、「パテントレザー」とも呼ばれます。
〈特徴〉
・銀面の上をコーティングしている
・コストが削減でき、比較的安価
・比較的水に強い
・革の風合いを楽しめない
・表面がコーティングされているため、クリームなどで栄養補給しにくい
8)オイルレザー
なめした後にオイルを多量に染み込ませた革です。
オイルを染み込ませることで、柔軟性や耐水性を高めることができます。
また、使い込むほどオイルによって独特の風合いが楽しめるのが特徴です。
〈特徴〉
・革に多量のオイルを染み込ませている
・柔軟性、耐水性が高い
・使い込むほど、独特の風合いを楽しめる
9)シュリンク
なめしの工程で熱や特殊な薬品を使用して、革の銀面を収縮(シュリンク)させることで、独特なしわをつけた革のことです。
柔らかく、しわによって傷が目立ちにくくなるという特徴があります。
〈特徴〉
・熱や特殊な薬品で収縮(シュリンク)させている
・柔軟性が高い
・傷が目立ちにくい
10)揉み革
革を手や機械を用いて揉み、しわをつけた革です。
シュリンクは、特殊な薬品を用いていますが、揉み革は手や機械によってしわをつけている点において異なります。
揉み方によって下記の名称がつけられています。
「水シボ革」…一方向のみに揉み、水平にしわを入れたもの
「角シボ革」…二方向に揉んでチェック柄のようになったもの
「角揉み革」…様々な方向から揉んでもの
〈特徴〉
・手や機械でしわをつけている
・柔軟性が高い
・傷が目立ちにくい
11)型押し
革の銀面を高温高圧の型でプレスすることで、凹凸の模様をつけた革です。
主に、爬虫類のヘビやクロコダイルなどの模様が多くあります。
〈特徴〉
・人工的に銀面に凹凸の模様をつけている
・傷が目立ちにくい
・立体感がある
3.おわりに
以上、革の加工・生地・素材の種類についてでした。
革というのは、原料となる動物やなめし方の種類だけでなく、最後の加工の仕方によっても様々な生地や素材の種類ができるということがお分かりいただけたのではないかと思います。
僕は革本来の味を楽しみたいので「ヌメ革」が好きです(^^)/
でも、スエードとかの起毛素材もかなり捨てがたいです!
革にも色々な加工や生地、素材の種類があって奥が深くて楽しいということが伝わったらうれしいです。
★Break Time★
今回のサムネイル(アイキャッチ画像)のテーマは、【旅の日】です。
5月16日は、旅の日だそうです。
日本旅のペンクラブ(旅ペン)が1988年に制定したので、松尾芭蕉が「奥の細道」の旅へ旅立った日でもあるそうです。
忙しい現代生活の中で「旅の心」を大切にし、旅のあり方を考え直す日です。
心に沁みますね!
忙しい日常を、旅をきっかけに見つめ直したいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!